【漢方でみる皮膚病・湿疹】
湿疹が赤く(紅斑)、あるいは化膿し(膿疱)、時に熱感や疼痛を伴うようなら、「熱毒(ねつどく)」証です。熱毒は、化膿性、あるいは激しい炎症に相当します。全体的な症候としては、口の渇き、唇の乾燥、発熱、もやもやと落ち着かない不安感や不快感(煩躁)などがみられます。
水疱や糜爛がみられるようなら、「痰湿(たんしつ)」証です。痰湿というのは、体内にたまった過剰な水分や湿気のことです。痰湿が皮膚で水疱や糜爛を形づくっています。全体的な症候としては、食欲不振、おなかが脹る、立ちくらみ、舌がぽってりと大きい、舌に歯形が付くなどがあります。
上記の熱毒と痰湿の2つの症状が同時にみられるようなら、「湿熱(しつねつ)」証です。湿熱は、熱邪と湿邪が結合したものです。
上記の湿熱の症状に加え、強い痒みがあり、湿疹が広がる傾向にあるようなら、「風湿熱(ふうしつねつ)」証です。風湿熱は、風邪と湿邪と熱邪が結合したものです。風邪は、自然界の風により生じる現象に似た症候を引き起こす病邪で、風のように発病が急で、変化が多く、体表部や呼吸器を侵すことが多い病邪です。患部があちらこちらと移動しやすく(遊走性)、また患部が拡大しやすいという特徴があります。風湿熱証の全体的な症候として、熱毒や痰湿の症候に加え、悪寒、頭痛などもみられます。
皮脂が分泌されにくく、皮膚が乾燥しているようなら、「血虚(けっきょ)」証です。血(けつ)は、人体の構成成分の1つで、血液や血液が運ぶ栄養という意味があります。この血の量が欠乏している体質が、血虚です。落屑や肥厚も生じます。
乾燥などの血虚の症状に加え、痒みが強いようなら、「血虚生風(けっきょしょうふう)」証です。血虚に伴い風邪が生じている状態です。
乾燥などの血虚の症状に加えて、紅斑などの熱毒の症状もみられるなら、「血虚血熱(けっきょけつねつ)」の状態です。
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