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3 肝臓・膵臓・腎臓の病気

  • 病気の知識〜肝硬変〜

  • 病気の知識〜すい炎〜

  • 病気の知識〜腎臓病−急性腎炎〜


    病気の知識〜肝硬変〜

    慢性肝炎が長期間つづき、肝臓の細胞が壊れ、その代わりに、すじの様な組織が増え、肝臓全体が硬くなって肝機能が低下する病気です。

    まるでこぶの多いジャガイモのように変化していきます。
    肝臓が硬くなっているため、本来肝臓に帰るはずの血液が他へ流れ、食道や胃の静脈瘤、痔が起こります。

    ■原因
    日本では、B型、C型のウイルス性肝炎が大部分を占めています。
    欧米でみられるアルコール性肝硬変は、日本では肝硬変全体の6分の1位に過ぎません。

    ■症状
    ・手が、手の平の中心を除いて、真っ赤になります。
    ・胸や背中に、ニキビのような赤い斑点(クモ状血管腫)
    ・男性で女性のように乳房が大きくなる(女性化乳房)
    ・腹に水がたまる
    ・へそを中心に、四方に血管が浮き出る
    ・全身の皮膚が黄色(黄疸)
    ・食道や胃の静脈瘤が破れると、大量の血を吐く(吐血)
    ・コールタールの様な便(下血)
    ・手のふるえ、昏睡

    ■診断
    末期になるまで臨床症状を全く示さず、検査上にも異常がみられない場合がありますが、大部分は慢性肝炎が先にあります。

    血液中のGOT、GPTなどの肝機能検査が診断の基本です。
    その他、超音波検査、CTなどで肝臓の形態を診断する方法があります。
    確実なのは、内視鏡で観察したり、肝臓の組織を直接検査する方法です。

    ■治療
    現在の肝機能を保つことが大切です。

    [西洋医学]
    肝機能が保たれている(代償期)場合は、通院で経過観察。
    腹水、黄疸、静脈瘤破裂などの症状が出現した非代償期では、入院治療を行います。

    [漢方]
    腹水、黄疸には、効果のある漢方薬があります。
    肝機能を高める漢方薬との併用で効果をあげています。

    ■食事
    高蛋白、高カロリーとされていますが、十分消化できないと、大腸菌を増殖させ、ガスがたまり、苦しくなったり、高アンモニア血症の誘因になります。

    ■腹水対策
    安静を保つことと食事療法が大切です。
    安静を保つことで肝臓への血流量が増え、肝臓を保護すると同時に、腎臓へ血液量も増えて排尿状態もよくなります。

    腹水といっても、大切な栄養分が含まれています。
    利尿剤で多量に排泄してしまうと、腹部膨満は楽になりますが、栄養が低下し、様々な症状を起こしかねません。

    よって排除した腹水を、必要な部分だけ体内にもどす還流療法も行われています。


    病気の知識〜すい炎〜

    【すい炎】
    すい炎は、西洋医学では治療困難な病気といわれています。

    ■すい炎とは
    すい臓は、二つの大きな働きがあります。
    一つは、消化液であるすい液を分泌する働き
    もう一つは、血糖を調節するインスリンなどのホルモンを分泌する働きです。

    このすい液が、正常に分泌されなかったりして、すい臓自体を消化してしまいます。これが、すい炎です。

    ■原因
    よくわかっていません。
    アルコールが関与していることは、はっきりしています。
    しかし、大量飲酒者の内、わずか1%が発症しているにすぎないので、アルコールだけでなくその他体質も関与していると考えられています。

    原因がはっきりしているものに、胆石があります。
    胆石がすい液の流れを悪くして、すい炎が起こりやすくなります。

    ■急性と慢性すい炎
    急性すい炎;すい液によって、すい臓自体や周囲の臓器を消化してしまう。
    激しい上腹部痛(みぞおち付近)が起こり、命にかかわることもありますので、緊急処置が必要です。

    慢性すい炎;疼痛発作を繰り返したり、慢性にすい液の流れが悪い状態が続くために、すい臓の組織が変化してしまった状態。
    すい臓が硬くなり、機能も低下し、様々な症状がでます。

    ■症状
    すい炎の代表的な症状は、痛みです。
    とくにみぞおちの辺りが痛みます。場合により、背中や左肩が痛むこともあります。

    痛みが起こるのは、過食した後、アルコールを飲んだ後、脂肪の多い食事をした後など、食事と関係して起こるのが特徴です。

    痛み以外では、吐き気、嘔吐、下痢、体重減少などの症状が現れることがあります。
    すい炎が進行してすい臓の機能が低下すると、インスリンの分泌が低下し、血糖が上昇し、糖尿病になることもあります。

    ■検査
    すい臓ガンでもおこるので、ガンでないことを確認します。
    すい炎の検査は、まず血液検査を行います。
    すい臓から分泌される消化液が、血液中にあふれるため、消化酵素の値が上昇します。
    そのほか、超音波や内視鏡などの画像診断も行います。

    ■治療
    [西洋医学」
    急性の場合、疼痛緩和のための鎮痛剤。
    緊急を要する疾患と区別がつかない場合は、手術をおこないます。

    慢性の場合、基本は疼痛緩和の薬剤、消化薬の服用です。
    発作時には断食し、それ以外は、ビタミン、タンパクの豊富な食事にして、体力をつけます。
    糖尿病を併発した場合は、カロリーコントロールをします。

    [漢方]
    症状に合わせて漢方薬を服用します。
    疼痛緩和をはじめ、すい臓の状態改善に漢方薬はたいへん有効です。


    病気の知識〜腎臓病−急性腎炎〜

    【急性腎炎】
    急性腎炎になると、顔や手がむくむ、尿量が減る、などの症状がでます。

    急性腎炎は、原則入院で、絶対安静が必要です。

    長期的には、タンパク質や塩分の摂取を制限し、腎臓にかかる負担を減らします。

    ■腎臓の働き
    腎臓は、左右一対の臓器で、腰骨の上、背中側に位置しています。
    腎臓には、糸球体という血液ろ過装置が左右で各100万個あります。
    腎臓にはたくさんの血液が流れ込み、糸球体を通過する際に、血液中の老廃物や異物などの不要なものがこされ、尿として排泄されます。また必要なものは、再吸収されます。

    腎臓には、体を維持するための多くの働きがあります。
    そのため、腎臓の機能が障害されると、全身に影響が現れ、機能が極端に低下し、命にも関わってきます。

    ■急性腎炎の原因
    急性腎炎は、腎障害による症状が、比較的急な経過で現れるものの総称です。

    急性腎炎の原因で最も多いのは、細菌感染によるものです。
    細菌が直接悪さをするのでなく、細菌にたいする免疫機能が働いた結果、細菌を攻撃する抗体と細菌が合体した、免疫複合体が血液にのって糸球体に沈着し炎症を起こします。

    糸球体の機能が障害されると、通常は尿に出ていかないタンパクや赤血球がもれ出ていきます。また不必要な物質や水分が、排泄されにくくなります。
    そのために、むくみやタンパク尿などの多様な症状が現れます。

    ■症状
    急性腎炎の起こり方には、特徴があり、多くはカゼをひいて、扁桃が腫れることからはじまります。
    のどが痛い、熱が出るなどの、扁桃炎の症状があり、それが治ってから1〜2週間ぐらい後に、急性腎炎の症状が現れます。

    ・むくみ:腎機能低下により、不要水分が排泄されないため。
    ・尿異常:尿量減少、多量のタンパク尿(泡立つ)、血尿(紅茶色)など。

    ・血圧:余分な水分のため血液量が増加し、血圧が上がります。
    急激に上昇するため、頭痛、肩こりなどの高血圧の随伴症状が出現。
    ・炎症:炎症のため腎臓が腫れ、腰が重い、だるいといった症状が出現。

    急性腎炎では、こうした症状がかなりはっきりと現れますが、一般には、最初にむくみで気がつき、検査をして、タンパク尿や血尿、高血圧などがわかります。

    ■治療
    安静が原則。
    塩分やタンパク質の摂取制限も。

    急性腎炎は、症状は激しいのですが、多くは完治します。

    急性腎炎の治療の原則は、腎臓にかかる負担をなるべく減らすことです。
    次の3つの治療を柱とします。

    1)絶対安静
    急性腎炎にかかると、体内水分の増加による血圧上昇が急激に起こります。
    心臓や脳に負担がかかります。基本は入院で血圧が安定するまで安静です。

    2)塩分制限
    塩を摂取すると、体内に水分がたまります。そのため、症状改善に合わせて加減します。

    3)タンパク質制限
    タンパク質を多くとると、それが分解されて産生される老廃物が多くなり、腎臓に負担がかかります。

    症状は改善されても、腎臓の炎症は継続しているため、塩分やタンパク質制限の食事療法は、1年間ほど行います。
    これによって、腎臓の負担を軽くします。

    ■注意点
    ・扁桃炎を起こしやすい人、カゼを引きやすい人は注意。
    ・完全に治るまでは、激しい運動は控える。
    腎臓への血液量が減って、回復に必要な酸素と栄養が減るため。
    ・子どもが多くかかりやすい。扁桃炎にかかりやすいため。