病気の知識〜腎臓病−急性腎炎〜
病気の知識〜肝硬変〜
慢性肝炎が長期間つづき、肝臓の細胞が壊れ、その代わりに、すじの様な組織が増え、肝臓全体が硬くなって肝機能が低下する病気です。
まるでこぶの多いジャガイモのように変化していきます。
肝臓が硬くなっているため、本来肝臓に帰るはずの血液が他へ流れ、食道や胃の静脈瘤、痔が起こります。
■原因
日本では、B型、C型のウイルス性肝炎が大部分を占めています。
欧米でみられるアルコール性肝硬変は、日本では肝硬変全体の6分の1位に過ぎません。
■症状
・手が、手の平の中心を除いて、真っ赤になります。
・胸や背中に、ニキビのような赤い斑点(クモ状血管腫)
・男性で女性のように乳房が大きくなる(女性化乳房)
・腹に水がたまる
・へそを中心に、四方に血管が浮き出る
・全身の皮膚が黄色(黄疸)
・食道や胃の静脈瘤が破れると、大量の血を吐く(吐血)
・コールタールの様な便(下血)
・手のふるえ、昏睡
■診断
末期になるまで臨床症状を全く示さず、検査上にも異常がみられない場合がありますが、大部分は慢性肝炎が先にあります。
血液中のGOT、GPTなどの肝機能検査が診断の基本です。
その他、超音波検査、CTなどで肝臓の形態を診断する方法があります。
確実なのは、内視鏡で観察したり、肝臓の組織を直接検査する方法です。
■治療
現在の肝機能を保つことが大切です。
[西洋医学]
肝機能が保たれている(代償期)場合は、通院で経過観察。
腹水、黄疸、静脈瘤破裂などの症状が出現した非代償期では、入院治療を行います。
[漢方]
腹水、黄疸には、効果のある漢方薬があります。
肝機能を高める漢方薬との併用で効果をあげています。
■食事
高蛋白、高カロリーとされていますが、十分消化できないと、大腸菌を増殖させ、ガスがたまり、苦しくなったり、高アンモニア血症の誘因になります。
■腹水対策
安静を保つことと食事療法が大切です。
安静を保つことで肝臓への血流量が増え、肝臓を保護すると同時に、腎臓へ血液量も増えて排尿状態もよくなります。
腹水といっても、大切な栄養分が含まれています。
利尿剤で多量に排泄してしまうと、腹部膨満は楽になりますが、栄養が低下し、様々な症状を起こしかねません。
よって排除した腹水を、必要な部分だけ体内にもどす還流療法も行われています。
病気の知識〜すい炎〜
【すい炎】
すい炎は、西洋医学では治療困難な病気といわれています。
■すい炎とは
すい臓は、二つの大きな働きがあります。
一つは、消化液であるすい液を分泌する働き
もう一つは、血糖を調節するインスリンなどのホルモンを分泌する働きです。
このすい液が、正常に分泌されなかったりして、すい臓自体を消化してしまいます。これが、すい炎です。
■原因
よくわかっていません。
アルコールが関与していることは、はっきりしています。
しかし、大量飲酒者の内、わずか1%が発症しているにすぎないので、アルコールだけでなくその他体質も関与していると考えられています。
原因がはっきりしているものに、胆石があります。
胆石がすい液の流れを悪くして、すい炎が起こりやすくなります。
■急性と慢性すい炎
急性すい炎;すい液によって、すい臓自体や周囲の臓器を消化してしまう。
激しい上腹部痛(みぞおち付近)が起こり、命にかかわることもありますので、緊急処置が必要です。
慢性すい炎;疼痛発作を繰り返したり、慢性にすい液の流れが悪い状態が続くために、すい臓の組織が変化してしまった状態。
すい臓が硬くなり、機能も低下し、様々な症状がでます。
■症状
すい炎の代表的な症状は、痛みです。
とくにみぞおちの辺りが痛みます。場合により、背中や左肩が痛むこともあります。
痛みが起こるのは、過食した後、アルコールを飲んだ後、脂肪の多い食事をした後など、食事と関係して起こるのが特徴です。
痛み以外では、吐き気、嘔吐、下痢、体重減少などの症状が現れることがあります。
すい炎が進行してすい臓の機能が低下すると、インスリンの分泌が低下し、血糖が上昇し、糖尿病になることもあります。
■検査
すい臓ガンでもおこるので、ガンでないことを確認します。
すい炎の検査は、まず血液検査を行います。
すい臓から分泌される消化液が、血液中にあふれるため、消化酵素の値が上昇します。
そのほか、超音波や内視鏡などの画像診断も行います。
■治療
[西洋医学」
急性の場合、疼痛緩和のための鎮痛剤。
緊急を要する疾患と区別がつかない場合は、手術をおこないます。
慢性の場合、基本は疼痛緩和の薬剤、消化薬の服用です。
発作時には断食し、それ以外は、ビタミン、タンパクの豊富な食事にして、体力をつけます。
糖尿病を併発した場合は、カロリーコントロールをします。
[漢方]
症状に合わせて漢方薬を服用します。
疼痛緩和をはじめ、すい臓の状態改善に漢方薬はたいへん有効です。
病気の知識〜腎臓病−急性腎炎〜
【急性腎炎】
急性腎炎になると、顔や手がむくむ、尿量が減る、などの症状がでます。
急性腎炎は、原則入院で、絶対安静が必要です。
長期的には、タンパク質や塩分の摂取を制限し、腎臓にかかる負担を減らします。
■腎臓の働き
腎臓は、左右一対の臓器で、腰骨の上、背中側に位置しています。
腎臓には、糸球体という血液ろ過装置が左右で各100万個あります。
腎臓にはたくさんの血液が流れ込み、糸球体を通過する際に、血液中の老廃物や異物などの不要なものがこされ、尿として排泄されます。また必要なものは、再吸収されます。
腎臓には、体を維持するための多くの働きがあります。
そのため、腎臓の機能が障害されると、全身に影響が現れ、機能が極端に低下し、命にも関わってきます。
■急性腎炎の原因
急性腎炎は、腎障害による症状が、比較的急な経過で現れるものの総称です。
急性腎炎の原因で最も多いのは、細菌感染によるものです。
細菌が直接悪さをするのでなく、細菌にたいする免疫機能が働いた結果、細菌を攻撃する抗体と細菌が合体した、免疫複合体が血液にのって糸球体に沈着し炎症を起こします。
糸球体の機能が障害されると、通常は尿に出ていかないタンパクや赤血球がもれ出ていきます。また不必要な物質や水分が、排泄されにくくなります。
そのために、むくみやタンパク尿などの多様な症状が現れます。
■症状
急性腎炎の起こり方には、特徴があり、多くはカゼをひいて、扁桃が腫れることからはじまります。
のどが痛い、熱が出るなどの、扁桃炎の症状があり、それが治ってから1〜2週間ぐらい後に、急性腎炎の症状が現れます。
・むくみ:腎機能低下により、不要水分が排泄されないため。
・尿異常:尿量減少、多量のタンパク尿(泡立つ)、血尿(紅茶色)など。
・血圧:余分な水分のため血液量が増加し、血圧が上がります。
急激に上昇するため、頭痛、肩こりなどの高血圧の随伴症状が出現。
・炎症:炎症のため腎臓が腫れ、腰が重い、だるいといった症状が出現。
急性腎炎では、こうした症状がかなりはっきりと現れますが、一般には、最初にむくみで気がつき、検査をして、タンパク尿や血尿、高血圧などがわかります。
■治療
安静が原則。
塩分やタンパク質の摂取制限も。
急性腎炎は、症状は激しいのですが、多くは完治します。
急性腎炎の治療の原則は、腎臓にかかる負担をなるべく減らすことです。
次の3つの治療を柱とします。
1)絶対安静
急性腎炎にかかると、体内水分の増加による血圧上昇が急激に起こります。
心臓や脳に負担がかかります。基本は入院で血圧が安定するまで安静です。
2)塩分制限
塩を摂取すると、体内に水分がたまります。そのため、症状改善に合わせて加減します。
3)タンパク質制限
タンパク質を多くとると、それが分解されて産生される老廃物が多くなり、腎臓に負担がかかります。
症状は改善されても、腎臓の炎症は継続しているため、塩分やタンパク質制限の食事療法は、1年間ほど行います。
これによって、腎臓の負担を軽くします。
■注意点
・扁桃炎を起こしやすい人、カゼを引きやすい人は注意。
・完全に治るまでは、激しい運動は控える。
腎臓への血液量が減って、回復に必要な酸素と栄養が減るため。
・子どもが多くかかりやすい。扁桃炎にかかりやすいため。