漢方相談室〜尿意〜
尿失禁・漢方療法
「力むと尿が漏れて困る」「失禁が気になるので外出しにくい」など
日常生活に支障をきたすことの多い尿失禁。
尿失禁とは、尿意がないのに尿が出たり、我慢できずに尿を漏らしてしまう状態をいいます。
尿失禁は女性に多く、40〜50歳代の女性では2人に1人が経験しているといわれていますが、これは、女性は男性と比べて尿道が短いのに加え、骨盤内の臓器を支えている骨盤底筋が弱いため、膀胱の筋肉が影響を受けやすいためです。
しかし、尿失禁を経験している人が多いにもかかわらず、治療をする人は多くありません。治療するのが恥ずかしいという抵抗感があるためか、独りで悩んでいる人も多いのでしょう。
尿失禁の多くは、漢方で改善することができます。
仕事に支障をきたしていたり、旅行や外出をためらってしまうなど、QOL(生活の質)に影響が現れている場合には、ぜひ一度ご相談下さい。
漢方では、内蔵だけに脾胃(ひい)や腎の働きが衰えて起こる症状と考えています。脾胃や腎の働きを強くすることで、膀胱の括約筋(かつやくきん)を引き締め、気になる尿失禁を改善します。
夜尿症 〜中高年にも急増中〜
【夜尿症】
夜尿症は、大きく2つに分けられます。
@オムツがいらなくなる時期になっても、おねしょが続く場合。
Aおねしょ をずっとしていなかったのに、再度始まる場合。
@の場合は、膀胱の調節機能が調っていないことによります。
発達には個人差があり、3歳以降のおねしょ は要注意などと言われることがありますが、そう神経質になることはありません。
しかし、5歳頃になっても、毎晩のようにおもらしをする場合は、専門家に相談してみるとよいでしょう。
Aは、心理的不安定やストレスのために現れるものが多く、中年以降の夜尿の場合は、加齢による身体の機能の衰えが考えられます。
夜尿症に対しては、西洋医学はあまり効果をあげていません。
漢方では、昔から治療を行っており、経験と実績は充分あります。
体質・症状によって漢方薬が異なります。
【タイプ別 漢方薬】
1)胃腸が弱く疲れやすいタイプ:小建中湯など
2)精神不安・ストレスタイプ:柴胡桂枝湯など
3)加齢や疲労による腎臓機能失調タイプ:八味地黄丸など
上記の他に、食欲もあり活発な子どもで、熟睡するためにおねしょをする場合に葛根湯が有効なこともあります。
*漢方薬は、品質により効果の発現が異なります。
たとえその方にあった処方でも、品質によっては効果が出ない場合があります。
*ここにあげた漢方薬がすべてではありません。漢方治療を開始する場合は、専門薬局などで相談されるとよいでしょう。
病気の知識 〜膀胱炎〜
【膀胱炎】
膀胱炎は、細菌の感染でおこる急性単純性膀胱炎のことで、その9割が女性が占めています。
とくに、性活動期である20代〜40代の女性に多く発症します。
また再発をしやすい病気です。
女性に起こりやすい理由は、尿道が短く、そこから細菌が膀胱に進入しやすいためです。
■膀胱炎を起こしやすい要因
・過労、冷え、カゼ
・生理、妊娠、おりもの
・下痢、便秘
・尿意の過度の我慢
・不清潔
・水分摂取不足
■症状
頻尿、排尿痛、残尿感、尿の混濁(にごり)、ときに血尿
■診断
尿中に白血球、赤血球、細菌がみられ、尿は混濁しています。
■治療
入浴はしても大丈夫です。
[西洋医学]
抗生物質、抗菌薬を服用し、水分を多く取るようこころがける。
慢性反復性のものは苦手。
[漢方]
得意分野の一つ。
急性にも慢性にも対応ができます。
西洋医学が対応できないものも可。
■膀胱炎の予防
・尿を我慢しない
・陰部を清潔に保つ
・便通を調える
・カゼを引いたときは用心する
・冷やさない(特に腰)
・トイレペーパーは、前から後ろへ使う
・薬は指示どうりの期間を服用する
『ぢ』は我慢してたら治らない!
人には相談しにくい!それが「ぢ」です。この「ぢ」は、肛門周囲の血行不良が発病の原因です。
男性の病気と思われがちですが、便秘や冷え症、妊娠も「ぢ」の原因となるため、女性にも多くみられます。病院に行くのは抵抗があるからと、炎症を鎮める軟膏や座薬に頼りがちです。しかし、これは一時的な解決に過ぎず、原因の血行不良を改善しなければ、また再発してしまいます。
「切らずになんとかしたい」という女性からの相談が多いのですが、
『痛みの緩和』、『血行改善』、『冷え解消』
などの漢方薬を飲んで体質改善をしてもらっています。
その場しのぎの処置や、我慢するのではなく、再発防止を目指して根本から治すことが、漢方薬にはできます。もう悩みともさよならしましょう!
「痔・漢方療法」
「痔」は、日本人にとって非常に身近な病気の一つです。
自覚症状がある人だけでも日本人の3人に1人は「痔」といわれています。
痔の痛みは経験したものでなければわからないほどつらいもので、肛門周囲
の静脈血がうっ滞し、出血したり腫瘤(しゅりゅう)を生じたりもします。
しかし患部があまり人に見せたくないところなので、治療が遅れがちになる人が
多いようです。
一般に、痔と総称されるものには、痔核(いぼ痔)、裂肛(きれ痔)、肛門周囲炎(はれ痔)
痔ろう(あな痔)などがあります。
西洋医学でのその治療においては、坐薬や軟膏などの外用薬、軟便剤などによる「薬物療法」
「注射療法」「手術療法」などの末端での症状改善の策が進んだだけで、体が治ってゆくわけではありません。
漢方では、うっ血性の体質を改善することに主眼を置き、肛門周囲のうっ血を除き、痛みを止め、
便通を整えるなど、根本的な治療を行います。
病気の知識 〜肛門疾患のケア〜
【肛門疾患を悪化させない工夫】
肛門疾患をもっている人は、体質的、日常的な問題があります。
体質改善は、現代医学では難しく、漢方の分野になります。
悪化させない工夫は、肛門部にできるだけ負担をかけないことです。
1)肛門に負担をかけない排便習慣を身につける
2)肛門に力のかかる姿勢や状態をできるだけさける
3)肛門を清潔に保つ
具体的には、
・排便はスムーズに行い、いきまないこと
・便秘や下痢をしないこと
・長時間同じ姿勢をさける
・冷やさない
・アルコールや唐辛子など、刺激物を適度にする
・肛門部を清潔にする
もっとも大切なのが、肛門に負担のかからない排便習慣を身につけることです。
病気の知識 〜痔核〜
【痔核】
痔核とは、痔静脈のうっ血による血管性の腫瘤(こぶ)をいいます。
そのうち、痔核が肛門の外側にできるのを外痔核、内側にできるのを内痔核といいます。
■外痔核
原因:肛門部のうっ血、充血などの血行障害により、血の塊のはいった腫瘤が形成されます。
硬い便をいきんでしたとき、下痢が続いたとき、冷たいところに長時間座っていたときなど、起こりやすくなります。
症状と診断:肛門の外側に、こぶが触ってわかります。
大きさは、あずき大から肛門全体に及ぶこともあります。
大きいとその分痛みも強いようです。
こぶの表面がこすれて切れ、出血がみられることもあります。
■内痔核
原因:これもやはり肛門部の血行不良です。
症状:排便時に出血や痔核が脱出する、または脱出したままもどらず激しい痛みと出血をともなうものまであります。
出血に関しては、新鮮な真っ赤な血液そのものであることが特徴です。
また出血が微量でも、長期に渡ると貧血の注意が必要です。
脱出については、排便後に自然にもどるもの、指で押し込まないともどらないもの、ちょっと動くと簡単に脱出するもの、常に脱出してもとにもどらないものまであります。
脱出する内痔核では、残便感や不快感が強いことが多く、またもとにもどらないものでは外痔核をともない、激しい痛みや出血をともなうこともあります。
治療:便通を調え、入浴して肛門部の血液循環をよくして清潔にします。
[西洋医学]
坐薬、軟膏、消炎剤などを使用します。
場合によって、血栓を除去する手術をします。
[漢方]
肛門部の血液循環をよくする漢方薬を服用します。
漢方の得意分野です。手術をしなくてもよくなった例は数えきれません。
病気の知識 〜膀胱炎〜
【膀胱炎】
膀胱炎は、細菌の感染でおこる急性単純性膀胱炎のことで、その9割が女性が占めています。
とくに、性活動期である20代〜40代の女性に多く発症します。
また再発をしやすい病気です。
女性に起こりやすい理由は、尿道が短く、そこから細菌が膀胱に進入しやすいためです。
■膀胱炎を起こしやすい要因
・過労、冷え、カゼ
・生理、妊娠、おりもの
・下痢、便秘
・尿意の過度の我慢
・不清潔
・水分摂取不足
■症状
頻尿、排尿痛、残尿感、尿の混濁(にごり)、ときに血尿
■診断
尿中に白血球、赤血球、細菌がみられ、尿は混濁しています。
■治療
入浴はしても大丈夫です。
[西洋医学]
抗生物質、抗菌薬を服用し、水分を多く取るようこころがける。
慢性反復性のものは苦手。
[漢方]
得意分野の一つ。
急性にも慢性にも対応ができます。
西洋医学が対応できないものも可。
■膀胱炎の予防
・尿を我慢しない
・陰部を清潔に保つ
・便通を調える
・カゼを引いたときは用心する
・冷やさない(特に腰)
・トイレペーパーは、前から後ろへ使う
・薬は指示どうりの期間を服用する
病気の知識 〜夜尿症〜
【夜尿症】
5〜6歳以上になっても、睡眠中にたびたび排尿がみられる状態をいいます。
小学校低学年の約5%にみられ、自然に治る場合が多く、夜尿の程度が軽かったり、改善傾向がある場合は心配ありません。
■原因
排尿が自分の意志で行えるようになるまでの、体の未発達が原因です。
家族に夜尿歴がある場合も多く、遺伝的な要素もあります。
また心理的ストレスなども関係することもあります。
■治療
[西洋医学]
・三環系抗うつ薬、自律神経調節薬、抗利尿ホルモンなど、状態に応じて処方することがあります。
[漢方]
古くから夜尿に効果のある漢方薬がありますので、体質、状況に応じて漢方薬を服用します。
■生活の注意
・とくに母親が、夜尿に対して叱ったり、治療をあせってはいけません。夜尿のなかった日は、子どもをほめてあげましょう。
・夕食後の、水分のがぶ飲みは控える。
・寝る前、起きたとき、トイレで排尿する。
・冷えて起こりやすいならば、体や布団を温める。
漢方相談室 〜尿意〜
【患者さんからの質問】
最近、朝と夕の通勤電車の中で、急に尿意を感じ、もらしたらという不安のため落ち着かず、ドキドキしたり、冷や汗が出ることがありました。
精神科を受診したところ、「不安発作」と診断を受け、安定剤を処方してもらいました。
半年ほど服用し、カウンセリングを受けるうちに、電車に対する恐怖のようなものは軽減しました。
その後、役職が変わり、人前でプレゼンテーションをする場が増えたところ、プレゼンの前や最中に尿意を感じるようになりました。
神経的なことはわかっているので、以前のような状態まで落ち込むことはありませんが、尿意がやはり起こります。
安定剤は眠くて仕方なかったため、他の治療法はないか探していたところ、知人から漢方薬を教えてもらいました。
私のようなケースでも、該当する漢方薬はありますか?
【回答】
該当する漢方薬はあります。
カウンセリングが功を奏した経験から、神経的なものだという冷静な心構えができていますから、以前の尿意よりも軽く抑えられているようですね。
漢方薬で、緊張やストレスに反応しやすい体を是正することはできますので、服用を検討してみてはいかがでしょうか。
もっと詳しく相談して検討したいところですが、メールの内容からすると、
疏肝解鬱薬(そかんげうつやく)を中心とした漢方薬がよろしいかと思われます。
*そかんげうつやく;心身をリラックスさせる働きのある生薬
実際にこうした、精神神経から起こる様々な症状に対して、漢方薬で改善している方はたくさんいらっしゃいます。