病気の知識〜急性胃炎〜
漢方治療 〜便秘〜
【便秘症】
便秘とは、大腸内に便が停滞して、排便が順調でないことをいいます。
そして一般的には、3〜4日以上も便通がなく、そのために不快感をともなうものを便秘症としています。
【治療】
まずは排便の習慣をつけることです。
便意がなくても、一定の時間帯にトイレにいく習慣をつけるといいでしょう。
適度な運動、散歩、リラックス法などが腸の運動を促進します。
食事としては、繊維の多いものをとるようにしましょう。
*東洋医学では、生もの・冷たいものの過食は、逆に胃腸の運動を妨げるとしています。
糖尿病や肝臓病などの疾患をお持ちの方は、食事内容などは、かかりつけの病院で相談してください。
《西洋医学》
整腸剤または下剤による対症療法が中心。
人によっては、下剤により腹痛・下痢などが起こります。
【漢方】
西洋医学では、体質の強弱に関わらず、下剤を投与します。
漢方では、各個人の便秘の状態に応じて、漢方薬が異なります。
必ずしも下剤を使用しません。
病院や市販の下剤で、腹痛・下痢を起こす方は、漢方薬が必要な方が多くみられます。
【タイプ別漢方】
1)大食漢タイプ:防風通聖散、大柴胡湯、瀉心湯など
2)冷え性タイプ:桂枝加芍薬湯、大建中湯、小建中湯など
3)コロコロ便タイプ:麻子仁丸、潤腸湯など
下痢・漢方療法
からだにとって悪いものを食べたり、細菌が体内に侵入した時に起こす下痢は、一種の生体防御反応です。
こんな場合は、単に下痢止めを飲むだけでは解決しません。
同時に原因疾患の治療を行わなければならないのです。
ただし、下痢が続くと体力を消耗し、体の水分不足を起こすので、小児や体力の衰弱した病人などは、まず下痢をとめることを優先させなければなりません。
次に、慢性の下痢に悩む人の場合について述べます。
慢性の下痢症は、もともと胃腸の弱い人に良くみられます。
このタイプは、疲れやすく、胃の中で振水音がすることがよくあります。
この胃の中の振水音は、漢方では、「胃内停水(いないていすい)」といって、一種の病的症状と考えています。
漢方薬として下痢に用いられるものは相当数ありますが、最もよく使われるものは、「胃内停水」を中心とした水分代謝の異常を改善する生薬や、人参などの体力を補う生薬を配合したものです。
また、神経の亢進によって起こる神経性下痢では、神経の緊張をゆるめる処方が、奏効します。
病気の知識 〜過敏性腸症候群〜漢方治療〜
【過敏性腸症候群】
過敏性腸症候群は、ストレスなどがかかると、下痢や便秘、腹痛などの症状が現れる疾患です。
過敏性腸症候群は、腸疾患の約半数を占めているといわれます。
漢方治療では、腸の働きを調整することで、症状を緩和します。
通勤電車に乗ると、決まってトイレに行きたくなったり、試験前になると、お腹が痛くなる、というような症状は、年齢を問わず、多くの人に見られます。
精神的な緊張や不安により、便秘や下痢が繰り返し起こるものを、過敏性腸症候群といいます。
過敏性腸症候群になりやすい人は、真面目な方や体質的に胃腸が丈夫でない人に多いようです。
過敏性腸症候群の主な症状は、便通異常と腹痛です。
便秘や下痢が起こる仕組みとしては、大腸の運動不良があります。
自律神経の乱れにより、腸の収縮と弛緩にアンバランスが生じ、下痢や便秘が起こります。
■漢方療法
便秘症状、下痢症状、体質に合わせて薬が処方されます。
持続下痢型、下痢便秘交互型、持続便秘型に分選択されます。
漢方薬は、過敏性腸症候群には非常に良く効きます。
■日常
過敏性腸症候群は、心理的ストレスが体に影響して起こる病気です。
漢方薬による治療の他、心身のリラックスを取り入れてください。
あまり考えこまず、大ざっぱにとらえるよう心がけてみてください。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍漢方療法
胃や十二指腸の内壁に傷ができ、痛みや出血を引き起こす胃潰瘍・十二指腸潰瘍。
患者さん自身の胃液によって、胃や十二指腸の粘膜が消化されて潰瘍ができるため、消化性潰瘍とも呼ばれています。
症状としては、潰瘍部位の痛み、むねやけ、げっぷなどがあり、さらに進行すると吐血といった症状を起こしてきます。
西洋医学においてのその治療においては、胃酸の分泌を抑える薬や消化管の粘膜を保護・修復する薬による薬物治療が中心です。
しかし、一旦良くなっても再発を繰り返す患者さんが多く、手術を行うことも少なくありません。
漢方では、胃潰瘍と十二指腸潰瘍の区別は特にありません。
つまり、どこに潰瘍があるかというより、どんな症状が出てくるかによって処方が決まってくるのです。
まずは、漢方薬でも炎症を抑え組織の再生を促し、また神経的な要因も大きな意味を持っていることから、精神的なバランスを取るようにも働きかけていきます。
さらには、胃腸機能を整えていく根本的な治療を行いますので、再発予防にも優れた効果を発揮します。
胃潰瘍・十二指腸潰瘍はできやすく、治ったとしても再発を繰り返しやすい病気で、放置しておくと胃壁、腸壁に穴があいたり、ガンに変化したりすることもありますので、早めの治療、そして再発予防に心がけましょう。
病気の知識〜過敏性腸症候群〜
【過敏性腸症候群】
感情の興奮など精神的ストレスによっておこる大腸の機能の様々な異常を、過敏性腸症候群といいます。
この疾患は、消化器の病気の過半数近くを占めています。
年齢を問わず発病しますが、青年期に多く発症します。
■症状
腹痛、便秘、下痢などです。
腹痛は主に下腹部、または左下腹部です。へその周囲の痛みは少ない。
痛みの特徴は、便やガスが通過すると消え、腹部の一定部の痛みではなく、移動します。
また様々な痛みの下痢を発症したりします。
一般に排便は少量で、大体朝食の前後に起こり、硬さもまちまちで、ときに粘液を含み、粘液だけのときもあります。
ストレスや葛藤などに一致して起こったり消えたりします。
■治療
この病気は、重いものではありません。
ストレスや悩みを吐き出すことが、いい効果を生みます。
[西洋医学]
対症療法として、大腸の過敏な動きを抑える抗コリン剤を使用します。
[漢方]
症状に合わせ、いくつもの漢方薬があります。
眠くなったりせず、自律神経を根本から調整してくれます。
過敏性腸症候群・漢方療法
☆下痢や腹痛が続く☆
腸そのものに、感染や炎症などのはっきりした異常がないのに、下痢や便秘、腹痛などの症状が慢性的に続くことがよくあります。
これは、精神的ストレスに、何らかの誘因が加わって、腸が過敏な状態になり、腸の働きが不調になっているために起こることが少なくありません。このようなケースを、「過敏性腸症候群」と呼んでいます。
「過敏性腸症候群」は、精神的な要素によって身体的な症状が現われる心身症の典型とされていますが、近年社会的なストレスが増大したこともあり、患者さんの数も目立って増加しています。
特に、20〜30歳代の女性や更年期の女性をはじめ、30〜40歳代の男性に多く見られるようになっています。
治療面では、西洋医学の場合は、あまり効果的な薬がなく、精神安定剤と生活指導などで対応している状態です。
☆西洋医学より優れた効果を発揮☆
漢方では、「心身一如(しんしんいちじょ)」の言葉があるように、昔から、精神と身体が切り離せない関係にあることを見抜いていました。そのため、「過敏性腸症候群」のような心身症的な病気に対しては、西洋医学より優れた効果を発揮することが少なくありません。
特に、下痢と便秘を交互に繰り返すタイプ(不安定型)や、慢性的な下痢が続くタイプ(持続下痢型)、便秘が目立つタイプ(便秘型)などには、漢方療法が適しています。
1年8ヶ月でクローン病克服〜妊娠・出産
「クローン病」は、原因がわからず西洋医学的には治らないといわれている難病のひとつですが、元気堂で実際に完治した例をご紹介します。
【症例】 「クローン病」 31歳 女性
<主張>:下痢、食欲の低下、身体のだるさ。また妊娠をご希望とのお話。
<経過>
H16・3月:病院で治療するもよくならず、漢方治療を希望され、当堂にご来店。まず、胃腸強化を考え、「啓脾湯(けいひとう)」と「六君子湯(りっくんしとう)」を処方。
H16・4月:下痢が改善され、食欲が出てきた。
H16・5月:食欲あり、便通よく、身体のだるさもとれ良好。
H16・9月良好。妊娠がわかる。妊娠中もつわりなどその時の症状に合わせ漢方薬を処方。
H17・11月元気な双子のお子様をご出産されました!
現在は「啓脾湯」を中心に「五苓散(ごれいさん)」を配合
病気の知識〜ベーチェット病〜
【ベーチェット病】
この病気は
1)口腔粘膜の再発性アフタ性潰瘍
2)皮膚症状(結節性紅斑様皮疹、皮下の血栓性静脈炎、毛のう炎様皮疹)
3)外陰部潰瘍
の3大症状があります。
いずれも痛みを伴い、男性では陰のう、女性では大小陰唇にできやすい。
眼の症状としては、ぶどう膜炎で、慢性再発性のものです。
その他、関節、消化器、心臓、血管、精神神経系などにも症状がでるなど、多彩な症状を現します。
一般に、口→皮膚→外陰部→その他という順に現れ、重症化することが多いようです。
眼に症状が現れると、失明の危険もあります。
このように、全身性疾患であり、日本では特定疾患に指定されています。
20〜30代の若い世代に多く、男性の方が多い傾向にあります。
■原因
原因は不明です。
■診断
臨床症状による他、検査も行います。
1)針反応:滅菌針を皮膚に刺し、後の部位の経過を観察します。
丸1〜2日で、水ふくれや化膿が現れる現象。ベーチェット病の30〜40%に陽性反応がみられます。
2)血液検査:免疫グロブリンA、Gが多く認められます。
3)補体:細菌の増殖を抑える蛋白質が、通常より多くなります。
■治療
[西洋医学]
抗生物質の少量長期投与
免疫抑制薬
ステロイド
の内服薬を中心に、その他の対症療法を行います。
[漢方]
体質がかなり関係しているといわれています。
体質改善薬を中心に服用します。
完治は難しいにしても、症状緩和は期待できます。
病気の知識〜潰瘍性大腸炎〜
【潰瘍性大腸炎】
潰瘍性大腸炎は、大腸、特に直腸の粘膜が傷つき、びらん、潰瘍などの浅い欠損を生ずる炎症性の病気です。
20代で発病する事が多い。
この病気の特徴は、必ず直腸がおかされること、腸上部へいくほど病変は軽くなること、病状が悪くなったり、よくなったりを繰り返すことです。
よくなっている期間を寛解期、悪くなっている時期を再発期と呼んでいます。
一回だけ発症して、再発しないこともあります。
■症状
発病時には、必ず粘血便があります。
粘血便は、便の周囲に血液が付着するものから、新鮮な血液を排泄するものまであります。
通常は、ケチャップ状で、1日に十数回にまでなります。
病気が広がると、発熱や、持続的な下血のために、貧血や低タンパク血症を生じ、全身の状態が悪化します。
腹痛を起こすことは少なく、あっても軽度です。
■治療
この病気の7割は再発と寛解をくりかえします。
ストレスをきっかけに再発することが多いので、心身の安静を心がけます。
女性では、妊娠をきっかけに悪化することが多い、妊娠は寛解期を選ぶとよい。
食事は、生野菜や生果実などの繊維の多いもの、乳製品、刺激物は控えめにする必要があります。
カゼも再発の引き金になることもあります。
[西洋医学]
根本治療はありません。
サラゾピリン、ステロイドが使用されます。
[漢方]
症状に応じた漢方薬を服用します。
急速な症状の寛解もよくみられます。
病気の知識〜胃炎〜
【胃炎】
胃炎には、急性胃炎と慢性胃炎があります。
急性胃炎は、暴飲暴食やストレス、新薬の服用などが原因で、胃の粘膜に急性の炎症が起きる病気です。
慢性胃炎は、胃内の消化液の分泌腺の萎縮を基礎に、胃粘膜の炎症や、胃の運動の低下などが原因となり、様々な症状が長期にわたって現れてきます。
■慢性胃炎のタイプ
【若年型】
・胃痛や胸焼けが強い
・胃酸分泌の亢進
・組織の萎縮範囲が狭い
・炎症性で、びらんなど表層の変化
【高齢型】
・胃もたれ、食欲不振
・胃酸分泌低下
・組織の萎縮が広範囲
・炎症性はほとんどなし
■治療
[西洋医学]
新薬は、急性胃炎向き。
若年型にはよい。
[漢方]
急性、慢性ともに対応。
若年型、高齢型の療法に対応。
病気の知識〜急性胃炎〜
【急性胃炎】
急性胃炎は、色々な原因によって胃の粘膜が傷つき、急激に変化を起こす病気です。
急性胃炎の大部分は、細菌感染や食物の刺激などによって起こるものです。
[原因]
アルコールや香辛料、油ものなどの摂取がもっとも多く、
特に、空腹時にアルコールを飲んだときに頻発します。
これから忘年会のシーズンです。胃腸がフル回転する時期でもあり、急性胃炎のシーズンでもあります。
[症状]
原因となるものを摂取して、短時間のうちに、悪心、みぞおちの圧迫感、ぼうまん感などが現れ、ついで胃痛、腹痛や嘔吐がみられます。
ひどい場合は、吐いたものに血液が混じることがあります。
[治療]
《西洋医学》
重篤なら入院。
軽症は、1〜2日の絶食をします。
【漢方】
速やかに改善できます。
また飲む食べる前と後に、漢方薬を服用しておくと、急性胃炎の予防になります。
これからの季節、常備薬として持ち歩くといいでしょう。
*市販の●●漢方胃腸薬は、万人向けとはいえません。
漢方では、自覚症状から考えます。
多いものは、胃の痛み、胃のもたれ、食欲がないなどです。
その他、胸焼け、げっぷなど。
痛みまではいかなくても、胃の存在感を訴える方もいます。
【タイプ別漢方薬】
暴飲暴食タイプ:平胃散、大柴胡湯、防風通聖散など
胸焼け、胃痛タイプ:黄連湯、半夏瀉心湯、黄連解毒湯など
冷え、胃痛タイプ:安中散、芍薬甘草湯、人参湯など