子宮筋腫
子宮内膜症
子宮内膜とは、子宮の内側をおおっていて、周期的に変化をし、月経のたびにそのもっとも表面にある層がはがれ落ち、血液と一緒になって出てきます。
この子宮内膜、あるいはそれに似た組織が、子宮以外の場所に増殖し、月経時に出血します。
悪性のものではないので、前向きに治療することが大切です。
症状としては、子宮筋腫に類似し、痛み、出血過多が主なものです。
現代医学の治療方法は、ホルモン療法、消炎鎮痛剤、手術です。
年齢や妊娠希望かによっても、治療が異なります。
【子宮内膜症の漢方療法】
漢方により手術を免れた例は多くあります。
漢方の得意分野の一つです。
患者さんの症状・体質から、漢方薬を選別していきます。
本来あるべきでない子宮内膜を、?血(古血、不浄化の血液)ととらえ、血を浄化する方法が主体となります。
また、気の流れが悪いことも要因にありますので、気の巡りをよくすることも重要です。
上記の治療によって、月経痛・経血過多の軽減、増殖した子宮内膜の消失が可能になります。
月経痛や月経過多の軽減は、早期にみられますが、原因である子宮内膜症が完全に治癒したわけではないので、継続する必要があります。
婦人科での定期健診と並行していくといいでしょう。
【タイプ別 漢方療法】
血のタイプ:桂枝茯苓丸、桃核承気湯、折衝飲など
気のタイプ:加味逍遥散、四逆散、柴胡疏肝散など
*上記の他にもあります。
*同名処方でも、生薬の品質、製造方法により、効果が異なります。
*詳しくは漢方専門店でご相談ください。
漢方治療 〜不妊症〜
【不妊症】
ここでは、女性に原因がある場合を取り上げます。
西洋医学的には、妊娠しない原因を排卵障害や着床障害などがあげられます。
漢方では、主に気と血、精の問題として考え、このバランスを整えることを目的とします。
西洋医学的に色々検査や治療を行っても成果がみられない、いわゆる機能的な不妊の場合に、漢方薬が適しています。
明らかに、器質的異常、つまり卵管が閉塞したりする場合は、外科的対応が必要です。
■体質タイプ別漢方薬
1)生殖能力の減退タイプ:八地黄丸、六地黄丸など
2)貧血・冷えタイプ:当帰芍薬散、温経湯など
3)イライラタイプ:四逆散、加味逍遥散など
4)肥満タイプ:防已黄耆湯、大柴胡湯など
5)血行不順タイプ:桂枝茯苓丸、桃核承気湯など
などがあります。
乳腺症
乳房にしこりがあるといって外来を訪れる女性のなかで、いちばん多いのが乳腺症です。
年齢では、35〜45歳が多く、閉経後は急減します。
乳腺症は、良性乳腺疾患で、自然治癒、退縮といった特徴をもっています。
原因としては、ホルモン関係が重要視されています。
しかし、各種ホルモンを測定しても、はっきりしていません。
乳がんとの鑑別が大切ですので、婦人科にて診察を受けてください。
西洋医学の治療は、ホルモン剤消炎鎮痛剤、冷却、手術などで対応しています。
漢方で治そうと相談に来られる方が増加しています。
腫瘤(しこり)にも疼痛にも十分効果が期待できます。
連服により、しこり・痛みが解消することを多く経験しています。
【漢方療法】
漢方においては、気と血の治療に重点をおきます。
気のタイプ:柴胡疏肝湯、四逆散、加味逍遥散など
血のタイプ:桃核承気湯、桂枝茯苓丸、折衝飲など
*上記の他にも漢方薬はあります。
*同名処方でも、生薬の品質、製造方法により効果に差がある場合があります。詳しくは、漢方専門薬局でご相談ください。
漢方治療〜おりもの〜
【おりもの】帯下、こしけ
生理的おりもの;
成熟女性の正常な膣内は、乳酸菌の活動や女性ホルモンの作用で酸性になっており、雑菌が活動しにくくなっています。
これを自浄作用といいます。
おりものは、膣の生理的な分泌物を総称している一般的な言葉で、専門的には帯下といいます。色によって、黄色帯下、褐色帯下、白色帯下などと呼びます。
病的なおりもの;
病的なおりものとしては、はっきりした感染がなくても、水っぽい、ときには膿みえるおりものや、うすい血性のおりものが認められるようになります。
また、かゆみとおりものがある場合、真菌によるカンジタ症を疑います。
また、抗生物質やステロイドを服用しているとき、免疫が低下して感染しやすくなります。
かゆみや悪臭をともなうおりもの、焼け付くような感じ、性交痛などは、トリコモナス原虫の感染が考えられます。この場合、男女ともに治療が必要です。
その他、いくつかの原因が考えられますが、先ずは、おりものの量や、かゆみ・悪臭がしたら注意してください。
【西洋医学】
急性の感染症であれば、抗生物質や抗真菌薬などが奏功します。
しかし、体質からくるものには決め手がありません。
【漢方療法】
婦人科の疾患にほとんど付随してくる症状です。
昔は、婦人科医のことを帯下医といったほどでした。
体質からくる慢性反復性のおりものの場合、漢方薬が非常に奏功します。
(*急性の感染症にも対応できます)
【タイプ別漢方薬】
1)炎症タイプ;竜胆瀉肝湯、清心蓮子飲、加味逍遥散など
2)冷え性タイプ;当帰芍薬散、真武湯、温経湯など
3)血行不順タイプ;桂枝茯苓丸、桃核承気湯、四物湯など
☆女性の更年期・漢方療法☆
のぼせる、手足が冷える、しびれる、肩がこる、頭が痛い、身体がだるい、イライラする、不眠、めまい、動悸…など更年期に起こるさまざまな症状は、多くの女性を悩ませ、美容や健康に敏感な女性にとっては、とても気になる症状です。
女性の更年期は、女性ホルモンの乱れが、自律神経に影響を及ぼすことで起こり、精神的・身体的な多種・多様な自覚症状が現われるようになります。
西洋医学では、女性の更年期に対して、女性ホルモンを補ったり、精神安定剤を投与するなどの治療を行いますが、十分な効果が得られないことも多く、その効果は不十分です。
漢方医学では、古くから「血の道症」という考え方があります。これは、女性特有の生理的変動によるさまざまな心身症状を指すもので、治療面でも、こうした症状に効果がある多数の漢方薬があります。
女性の更年期は、漢方が最も得意とする分野のひとつであり、高い効果をあげています。漢方で、心身を良い状態に保ち、より充実した生活を送りましょう。
子宮脱 〜漢方で健やかに〜
子宮脱とは、子宮が膣外に脱出する状態のことを言います。
通常、子宮は膣の周囲に存在する強靭な組織によって取り囲まれています。
したがって、子宮は強くいきんでも、外に出てこないのが普通です。
しかし、出産や加齢などの理由で、子宮を支えていた組織が緩んでくると、少しいきんだだけで、子宮が脱出してしまい、子宮脱となります。
子宮脱は、分娩回数の多い人や高齢者、立ち仕事をする人に見られます。
また、子宮とともに、膀胱や直腸も下降することもあります。
西洋医学の治療方法は、保存療法と手術があります。
保存療法は、ペッサリーという道具を挿入して、下降を防止するものです。大きな欠点は、道具が当たる部位が、タダレやすくなることです。そのため、ときどき休止する必要があります。
手術は、多種の方法があるそうです。
以前の手術では、子宮を摘出することを、根本療法と呼んでいましたが、恐ろしいことです。
*現在でも子宮筋腫などでは、子宮を全摘出する手術を根本療法と呼んでいる場合がある。
汚染米を事故米と言ったり、給与の値下げを給与改正と呼ぶのと同じで、言葉にだまされてはいけません。
ここでいう根本は、根こそぎ除去するということであり、治ることではありません。ただ、消去してしまうのです。
結論として、上記の療法は、治すとはいいません。
漢方薬では、この子宮脱を治した事例が多く存在しております。
ここでいう治すは、言葉のとおり、自分の力で子宮の下垂が治り、もとの位置にもどり、通常の生活ができることです。
子宮脱になりやすい方は、虚弱体質、または一時的に体力が低下した状態にあります。
そのため、体の臓器を重力に逆らって保持することが困難になっているのです。
ですから、虚弱や体力の低下を改善すれば、治ってきます。
食事が基本ではありますが、なかなかそれだけでは足りないので、漢方薬というものがあります。
また、ビタミン剤でというのも難しいところです。
質の良い漢方薬を服用することが、治る近道です。
近年、安価なものを求めてさまよう方が増えておりますが、結局は遠回りのことが多いように見えます。
いくら回転すしの100円マグロを10個食べても、カウンターで握るマグロの味はわかりません。
食べ物なら、質より量で満腹にはなりますが、漢方薬はそうはいきません。
たくさん飲んでも、効果の低いものは低いのです。
☆女性にやさしい漢方☆ 「冷え性」漢方療法
西洋医学には、「冷え性」という病気はありません。
何らかの病気があり、その影響で冷えがおこるような時は、原因となっている病気の治療が優先され、冷えそのものの治療はあまり行われません。
いわゆる「冷え性」は、特別な病気がないのに、手足などが冷えるもので、はっきりした「病気」ではないため、西洋医学ではなかなか十分な対応ができないのです。
したがって、「冷え性」は、漢方療法が得意とする分野であり、大切な病態のひとつとしてとらえています。
漢方学的に、「冷え性」は、大きく分けて4つのタイプがあります。
@身体全体の新陳代謝の低下により、冷えるタイプ
A胃腸機能の低下に伴い、冷えるタイプ
B「血」という栄養物質の流れが悪くなることにより、冷えるタイプ
Cストレスの影響により、冷えるタイプ
漢方では、この冷えのタイプをみて、処方を選びます。
「冷え性」は、頭痛やめまい、耳鳴り、肩こり、手足のしびれ、腹痛、動悸、身体のだるさ、ほてり、イライラ、腰痛、むくみ、生理不順など、様々な症状の原因となることが少なくありません。「女性の病気の危険信号」としてとらえ、甘く見ず、冷えた身体を、漢方の力で、シンから温めていきましょう。
つらい生理痛が和らいだ!
つらい生理痛や腰痛、イライラ感などの生理前後の様々な症状でお悩みのA様は、問診の結果、お血状態(血液循環が悪い状態)の改善が必要ということでしたので、早速お血を治す漢方薬を飲んでいただくことにいたしました。
それと同時にアロマオイルによる腹部や腰部のマッサージをご提案させていただきました。アロマオイルには女性ホルモンの働きを調節して、症状を改善する作用のあるクラリセージやスターアニスなどがブレンドされていて、腹部や腰部に塗布してマッサージしていただくことで症状の改善が期待できます。また、自律神経を調整する作用のあるオイルもブレンドされているため、イライラ感などの様々な症状に効果が期待できます。
漢方薬とアロマオイルの併用で、A様の症状は徐々に改善されているようです。
つらい生理痛でお悩みの方!
漢方薬とアロマで症状の改善を目指しませんか?
病気の知識 〜子宮筋腫〜
【子宮筋腫】
子宮にできる良性の腫瘍です。
良性ですので、ガンとは違い、転移したりすることはありません。
小さい無症状のものを含めると、20〜25%にみられます。
一つだけできることもありますが、多くの場合、多発(何個も)できます。
原因としては、卵巣から分泌されるホルモン(とくにエスロゲン)が関与していると考えられています。
■主な症状*自覚しないことも多い。
・月経過多(子宮の内側へできるものほど、強く症状がでる)
・不正出血
・貧血(月経過多による)
・月経困難
・不妊(着床障害や卵巣の機能障害)
・圧迫症状(膀胱圧迫による頻尿、下腹部圧迫による腰痛、下腹部痛など)
■診断
・内診、超音波検査などで、比較的容易に診断がつきます。
他の病気と鑑別するため、CTやMRI使うこともあります。
■治療
【現代医学では】
根本的な治療は、今のところ手術療法しかありません。
薬物療法は、ホルモン剤によって閉経状態にして、筋腫を一時縮小させます。
筋腫が、男性のこぶし以上のものは、無症状でも手術の対象となります。
それ以下の大きさでも、月経過多で貧血がひどく、すぐに貧血になる場合には、手術をします。
(手術)
筋腫を含めた子宮全体を摘出する方法と、筋腫だけを摘出する方法があります。
【漢方では】
一般的に、子宮筋腫は漢方薬の得意分野です。
完全に消失することも少なくありません。
完全に消失しないまでも、縮小したり、その他のつらい症状の改善には効果があります。
漢方では、血液の流れを改善し、浄化する薬を中心に使います。
月経過多がひどければそれに応じた漢方薬を服用します。
基本的には、西洋医学との連携が必要で、定期的な診察も並行します。
病気の知識 〜子宮内膜症〜
【子宮内膜症】
子宮内膜とは、本来、子宮の内側の表面をおおていて、周期的に変化をし、月経のたびに最表面にある層がはがれ落ち、血液と一緒に出てきます。
この子宮内膜、あるいはそれに似た組織が、本来の位置ではないところ、例えば卵巣や卵管、子宮の筋層などで増殖し、月経のとき同様に出血する病気を子宮内膜症といいます。
これは内出血の病気ともいえ、繰り返し起こることによって、子宮周囲の組織が癒着(くっつく)したり、硬くなったりして、臓器の動きが悪くなることから、痛みなどの症状が出るようになります。
まだはっきりしない部分の多い病気ですが、悪性ではありません。
不妊との関係も、症状が進行するほど妊娠率は低下しますが、妊娠しないというわけではありません。
■症状
・月経困難
・不妊
・性交痛
・排便痛
・過多月経
内膜症の症状は、痛みと不妊が主になります。
不妊との関係は、はっきりしていません。(卵管の通過障害だけではない)
■診断
問診、内診、直腸診、超音波検査などで行います。
場合によっては、CTや腹腔鏡が必要なときもあります。
■治療
【現代医学】
手術療法と薬物療法があります。
手術療法には、根治療法といって、子宮や卵巣を摘出する方法と、保存療法といって内膜症によってできたのう胞だけをとったり、癒着をはがす手術があります。
薬物療法には、ホルモン剤を使う方法と、痛みに対して鎮痛剤を使う対症療法があります。
方法は、年齢、赤ちゃんを希望、病状の進行度、過去の治療歴などによって決定します。
【漢方】
子宮そしてその周辺臓器がある、腹部の血行を促進し、古血を浄化する漢方薬を、患者さんの体質に合わせて服用します。
痛みが強ければ、鎮痛効果のある生薬を増加します。
子宮筋腫と同様に、子宮内膜症は漢方の得意分野の一つです。
手術日が決まっていた患者さんが、手術前に少しでもよくなればという思いで漢方薬を服用し、結局手術をしなくても済んだケースも少なくありません。
病気の知識 〜月経の異常〜
月経異常には下記のようなものがあります。
・無月経
・頻発月経、稀発月経
・過多月経、過小月経
・月経困難症
・月経前緊張症
・初潮年齢の異常
【無月経】
無月経には、当然である生理的なものと病的なものがあります。
生理的無月経:初潮前、閉経以後、妊娠中、産褥(さんじょく)、授乳期(出産から半年位まで)
病的無月経について述べます。
無月経は、満18歳になっても初潮がこないもの(原発性無月経)、あったはずの月経が60日以上止まったもの(続発性無月経)の2つに分けられます。
原発性は、染色体異常や性器異常などの先天異常が大部分を占めており、根本治療は困難です。
大部分の続発性は、治療によって改善することができます。
無月経はその原因によっていくつも分けられます。
・視床下部性(原因の大部分)
・下垂体性
・卵巣性
・子宮性
・性器閉鎖症
■治療
重要なことは、無月経の期間が短いほど、治療の効果がよいということです。
【西洋医学】
原因に応じた治療をします。
【漢方医学】
生殖器官自体の器質に問題がある場合を除いて、ホルモン失調による無月経であれば、対応できます。
ホルモン剤にみられるような副作用はありません。
病気の知識 〜月経の異常〜その2
【頻発月経、稀発月経】
正常な月経周期は、25〜38日、出血は6日以内で自然に止血するということになっています。
頻発月経とは、月経周期が24日以内
稀発月経とは、月経周期が39日以上に延長する場合をいいます。
どちらにしても重要なのは、排卵の有無です。
排卵の有無は、基礎体温をつけることによっておおよその見当がつけられます。
頻発月経、稀発月経の場合、無排卵性月経が多くみられます。
西洋医学のアプローチとしては、排卵誘発剤が主になります。
漢方では、なぜ卵子を作れないのかと考え、卵子を作り出す女性の体自体を改善すべく薬を服用します。良い畑には、良い作物がなるように、卵子を作り出す体を養うことが主体になります。
【過多月経、過小月経】
過多月経:月経の出血量が異常に多い場合をいいます。細かく言えば、一回だけでなく毎回多いときを指します。
過小月経:過多の反対のことです。
月経の量の多い、少ないの基準はむずかしいところです。
目安としては、多いときは凝血が出る、鮮血様の出血がある、パッドを重ねてもすぐにしみてくるといったものがあります。
■原因
過多月経:子宮筋腫、子宮内膜症、子宮内膜過形成など
過小月経:子宮発育不全、子宮萎縮、無排卵周期症など
■治療
[西洋医学]
原因によって異なります。
[漢方]
患者さんの体質や生理の状態によって異なる漢方薬を服用してもらいます。
病気の知識 〜月経の異常〜その3
【月経困難症】
一般に、生理痛といいます。
医学的には、月経困難症、月経痛と呼びます。
症状は、月経の直前から月経時にかけての強い下腹部の痛み、腰痛です。
出産を重ねるごとに、軽くなる傾向があります。
■原因
1)子宮筋腫、子宮内膜症、子宮発育不全、性器閉鎖症など、器質的な場合
2)内分泌の異常や過度の子宮収縮による場合(機能的な場合)
3)膜様月経困難症といって、厚くなった子宮内膜が大きな塊のまま排出されるために起こるもの
*初潮〜20歳前後の月経困難症は、2)、3)の場合が多く、30歳を過ぎてからは、3)の場合が多いと考えられます。
■治療
[西洋医学]
原因に応じて、手術や薬物療法を選択。
薬物は主に対症療法や排卵の抑制。
[漢方]
2)3)に対応。
患者さんの症状、体質に応じて、根治療法を行う。
病気の知識 〜月経の異常〜その4
【月経前緊張症】
月経の始まる数日あるいは10日位前から、頭痛、憂鬱、不安感、悪心、腹部膨満、腰痛などの身体・精神的に不快な症状が出現し、月経が始まるとともに急速に消失する症候群です。
症状が多様なため、ほかの婦人科疾患や精神科疾患と鑑別するのが容易ではありません。
■治療
[西洋医学]
月経困難症と同様に、排卵抑制薬、鎮痛剤を使います。
精神症状に対しては、精神安定剤がよく使われます。
[漢方]
訴える症状、漢方的病状に応じて、漢方薬を服用します。
病気の知識 〜乳腺症〜
【乳腺症】
乳房にしこりがあると、婦人科外来を受診する女性の中で、いちばん多いのが乳腺症です。
35〜45歳が多く、閉経後は急減します。
乳腺症は、良性乳腺疾患で、自然治癒、退縮、という特徴をもっています。
原因としては、ホルモンとの関係が言われていますが、はっきりとした因果関係は認められていません。
■症状
片側にしこりができる場合が多いのですが、もう片方にもいくらかのしこりを認めることもしばしばです。
しこりは、はじめははっきりせず、硬く、押すと痛いと感じる場合が多いようです。
乳ガンとの鑑別がとても重要です。一度婦人科を受診することが大切です。
■治療
痛みの少ない乳腺症は、少なくても6ヶ月ごとの経過観察を行います。月経直後の自己検診で、しこりが大きくなったと感じたら、すぐに検診を受けて下さい。
痛み、腫れが強い場合には、抗炎症剤、鎮痛剤、冷却によって対応します。
[漢方]
しこりに対して有効な漢方薬がありますので、服用しながら定期検診をします。
病気の知識 〜更年期障害〜
【更年期障害】
更年期というのは、性成熟期から老年期へ移行する間の期間と定義しています。
更年期になると、卵巣の機能が低下し、ホルモンの分泌も減少します。
このようなホルモン失調とそれによる自律神経の失調状態が更年期障害の根本にあります。
さらに、個々の性格、生活環境などがからみあい、症状を複雑にしています。
■症状
のぼせ、ほてり、動悸、発汗、冷え、憂鬱、不安、不眠、頻尿、肩こり。腰痛、全身倦怠感など
■診断
ほかの病気、高血圧症、低血圧症、貧血、甲状腺機能異常など他の疾患を除外しておくことが大切になります。
■治療
[西洋医学]
基本的には、ホルモン療法です。
その他、精神安定剤など。
外向的なタイプの方が、症状が軽いようです。
[漢方]
急速に減少するホルモンを補うような漢方薬を中心に、つらい症状に応じた漢方薬を服用します。
更年期はまさに漢方の得意分野です。
漢方相談室 〜更年期?〜
【ご相談内容】
1年前位に、激しいめまいに襲われました。
月経時にひどくなり、激しい生理痛、耳鳴り、発汗、精神不安定などの症状があります。
40代ということで、更年期障害ではと思い、婦人科を受診しました。
ホルモンに異常なしと診断され、耳鼻科でも異常なしでした。
心療内科を紹介され、自律神経失調症と診断され、抗うつ剤を処方されました。
やはり、納得がいかなかったので、別の婦人科を受診しました。
生理痛が激しいということから、子宮筋腫や子宮内膜症を調べてみようということになって検査を受ける予定です。
上記のような症状に良い漢方薬はありますか。
【回答】
漢方は、患者さんの症状と体質から漢方薬を調合します。
ですので、子宮筋腫や子宮内膜症はないと診断されても、あなたの症状を緩和する漢方薬はできます。
もし、筋腫や内膜症があると診断を受けたならば、それも考慮にいれて、緩和できる漢方薬を調合できます。
ですから、婦人科でしっかりした診断を受けてから、そのことも総合して漢方相談を受けるとよいでしょう。
子宮筋腫
子宮の正常の大きさは、鶏卵くらいの大きさです。
この子宮の筋肉のところに、瘤(こぶ)ができるのが、子宮筋腫です。
30歳を超えた女性に多く見られます。
人により症状の有無はありますが、筋腫が大きくなるにつれて、症状がでることが多く、
・月経痛
・月経過多
・大小便の異常
などが主な症状です。
西洋医学の治療は、薬物療法と手術です。
薬物療法は、ホルモン療法により、女性ホルモンを抑制します。
そうすることで、筋腫の縮小を図ります。
薬物療法によって、縮小することもありますが、再発する場合もあります。
薬物療法無効や、筋腫の大きさにより、手術が行われます。
筋腫だけあるいは子宮を摘出します。
漢方療法は、女性ホルモンを抑制することはしません。
抑えるのではなく、調えるのです。
ですから、新薬による閉経症状のような副作用はありません。
大きさにもよりますが、漢方薬により筋腫が完全に消失することはあります。
また、早い段階で症状の改善がみられ、ふつうの日常生活が送れるようになります。
筋腫になるには、なりやすい体質のようなものがあるように思われます。
しばらくは、体質改善をした方がよいようです。
【タイプ別 漢方療法】
血のタイプ:桃核承気湯、桂枝茯苓丸、折衝飲など
気のタイプ:柴胡疏肝湯、逍遥散、加味逍遥散など
*上記の他にも漢方薬はあります。
漢方薬に品質、製造方法によっても同名処方によっても効果に差があります。
詳しくは、漢方専門薬局にご相談ください。